サーバルーム空調は空冷と水冷のどちらが良いのか
今回は、よく論じられるテーマである、サーバルーム空調の空冷と水冷のどちらが良いのかというテーマでお話しします。
我が国では、サーバルームが電算室と呼ばれていた30年近く前から、空冷が良いと叫ばれ続けていました。
空冷は配管の障害が発生した場合でも、漏水被害がないとされ、数々のIT機器を収容するサーバルームには、空冷以外ありえないという判断でした。
外国製のIT機器やサーバルーム空調機が多く見られるようになってから、とりわけ2005年前後位からですが、水冷が徐々に現れてきた印象です。
初めは、とてもではありませんが、我が国のユーザには受け入れられるものではなかったと思います。
水冷で扱う水の配管は圧力がかかっているため、排水設備と異なり、勾配における成り行き水量ではないため、破断は論外ですが、ピンホール程度の漏水であっても、かなりの水損が生じますので、受け入れられないという意見が大多数を占めていました。
では、空冷の場合、漏水が起こりえないかというと、厳密には空気中温湿度と冷媒の温度によるのですが、ドレン水(凝縮水)による漏水リスクはあります。
それでも、水冷に比べれば、空冷の方が、水損のリスクは限りなく小さいと言えます。
これまでのトレンドとして、我が国では、空冷ありきでしたし、今でもやっぱり空冷が良いという方も多くおられることは事実です。
ですが、現実的なこととして、外国では、むしろ水冷が多く使われているのです。
外国の方は、けして、水損を許容している訳ではありません。
デメリットを上回るメリットを享受できると確信しているからでもあるのです。
ユーザの皆さまにおいては、結果として空冷を選択するとしても、水冷のメリットを知ったうえでというのが、あるべき姿ではないでしょうか。
実際、当社では、水冷の空調設備を、ソリューションとして準備していますし、導入実績もあります。
「空冷と水冷のどちらが良いのか」というネーミングをつけましたが、空冷と水冷の違いをご理解いただき、選択肢の幅を拡げていただければと思います。
空冷と水冷の比較
簡単な表ですが、それぞれの方式を評価しました。
基本的な品質の7項目です。
通常、評価をする場合、皆さまは「QCT」を意識すると思います。
QはQuality(品質)、CはCost(価格)、TはTime(納期)を示します。
生産に関わる仕事をされている方は、TをD(Delivery)とした方がピンとくるかもしれません。
ここでは、品質のみ意識することにします。
どちらを選ぶか
この表で大切なことは、熱の効率とサイズ感です。
比熱とありますが、空気と水の同重量下において、1K(=1℃)下げる熱量のことです。
空気よりも水の方が、4倍も効率が良いことになります。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、比熱が大きいということは、逆にいえば温まりにくく冷めにくいということです。
水の方が、温度を上げ下げするにあたり、たくさんの熱が必要だということです。
火災のときに、水をかけるのは、それだけ水が沸騰するまでのプロセスの中で、燃焼物の熱を奪うのに効率が良いということがいえます。
次にサイズ感です。
一般的に空冷の方が大きいサイズが必要になります。
先ほどの比熱のところになりますが、対象は重量(kg)です。
体積(㎥)で考えると、水と同じ重量の空気は、より大きな体積となってしまうため、空調機自体のサイズ感も大きくなってしまいます。
すると、空冷の方が、はるかに大きなサイズの空調機となってしまい、設置面積が大きくなることになりますね。
評価するポイントは、ユーザの皆さまの考え方次第ではありますが、今後もIT機器の高密度化を踏まえますと、高負荷となりえる可能性は大いにあります。
その場合、より効率的な冷却を実現するには、水冷の選択は必要です。
当社では、空冷でも水冷でも、皆さまの環境に合ったサーバルーム空調をご提案できます。
処理する熱容量やサーバルーム内のその他のファシリティによって、ご提案したいソリューションは異なります。
それぞれの利点を、ここではお話ししきれないノウハウや皆さまの知見を高めるソリューションを展開できたらと考えており、当社ではInRow Cooling、アクティブ型リアドア空調、ラック一体型空調、小容量のサーバ用空調をご提案できます。
是非、皆さまのサーバルームに合ったソリューションをご選定ください。
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DC ASIAでは、皆さまのデータセンターのコンサルテーションを積極的に行っています。
相談してみたら、データセンター構築や運営のヒントが見つかるかもしれません。
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