~シリーズ~ サーバルーム空調と配線の関係性を考えてみる:サーバルームの配線は床下がいいの?、架上がいいの?
シリーズということで、「サーバルーム空調と配線の関係性を考えてみる」というテーマの第2弾となります。
前回、「フリーアクセス床と配線の関係」ということで、以下について、お話ししました。
フリーアクセス床と配線(電源とネットワーク)の関係として、前回のサマライズをしますと、概して以下のようなイメージとお話しました。
①配線を床下に収めるならば、ある程度の高さが必要
②配線は双方が集中
③配線は一定の設備エリアに集中する
・該当するサーバラックへの集中
・分電盤付近に集中
・空調側通路に集中
問題点として、これらのテーマを掲げましたが、設備毎の機能を考えますと、けしてダメだと言っている訳ではありませんし、むしろ自然です。
言いたいのは、工夫や知恵が必要だということであって、なんとなくやってしまうと、床下を配線で圧迫させ、さらには冷却の気流をも通さなくする恐れがあると言っています。
今回は、工夫や知恵のひとつである、「サーバールームの配線は床下がいいの?、架上がいいの?」というテーマでお話ししたいと思います。
まず、床下にはどんな設備が構築されているでしょう?
基本的なことですが、そこから押さえたいと思います。
床下に構築されている設備
・フリーアクセス床支持脚
・設備架台(ラック、分電盤、空調機)
・空調配管(冷媒配管、ドレン配管)、電源配線、制御配線
・ガス消火配管、ガス消火ヘッド、排ガスダクト
・超高感度煙検知設備用配管
・IT用電源幹線、支線
・IT用ネットワーク幹線、支線
・サーバルーム環境監視用配線(温湿度や電力など)
思いつく限り、一般的な設備を列挙しましたが、かなりの設備が床下を通ります。
そこから、それらを縫うように、冷却の気流を通すのです。
配線は床下を通す?、架上を通す?
このテーマですが、本当にたくさんの意見が分かれます。
サーバルームの設備設計思想にもよりますし、難解なことに設計する人の好き嫌いにもよります。
特に人の好き嫌いによるというのは、経験や専門分野も異なりますので、大変やっかいですよね。(苦笑)
やはりサーバルームの設備設計思想に違いがあるので、「電源はとかネットワークはとか」、「床下の方がとか架上の方がとか」、一概に言い切れません。
しかしながら、前述した通り、かなりの設備が床下を通ることと、どうしても集中する場所があることを考えますと、床下の混雑を避け、うまく架上を利活用することは、大変賢い選択だと言えます。
ですので、私の思う最適について、お話ししたいと思います。
配線設計思想を自身の言葉で説明できるようにするのが近道
まず、ネットワーク配線。
例えば、ネットワークラックから、サーバラックまで配線をしますが、都度必要毎に配線しますと、時間がかかります(コスト意思決定や物理的な工事)し、管理が煩雑になります。
運用を簡便にするなら、いわゆるToR(Top of Rack)方式が良いかもしれません。
つまり、「先行配線」ですね。
ネットワークラックから、サーバラックまで先行配線しパッチパネルを用意します。
サーバラック内のマウントしたIT機器へは、パッチ配線することで、かなり効率的に運用負荷が抑えられます。
そして、パッチ配線はラック上部からすることで、配線の煩雑さを抑えることができます。
これであれば、ネットワーク配線は架上配線を行なった方が、効率的かと思います。
次に、電源配線。
分電盤は壁面に設置したり、サーバラック列の最端に設置するケースが多いかと思います。
なるべく分電盤から直線的に、かつ最短で配線した方が電気的に良いです。
長く配線をしてしまいますと、電圧降下の問題が発生します。
また、どうしてもネットワーク配線と並走する場所が発生してしまい、誘導電圧による減衰を考慮しなくてはならないからです。
床下の架台を利用して自立する分電盤になりますと、電源配線は床下配線を行なった方が、効率的かと思います。
図示してみますので、イメージを掴んでいただければと思います。
これらを鑑みることによって、以下の3点の効果があると言えるでしょう。
〈ケーブリング上下分離の効果〉
・床下空調気流の確保
・用途毎分離による管理簡素化
・電源とNW配線分離による通信障害(誘導電流)防止
設計思想を自身で説明できることにより、どの方法が皆さまのサーバルームに適しているのかが把握でき、それが空調の効率化にも寄与できるのです。
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