サーバルーム給気口(ガラリ)の冷却能力はどの程度なのか?
私たちが利活用しているサーバルームの多くは、CRAC方式(Computer Room Air Conditioner)が多いと思います。
昨今、エアフローや冷却能力の限界もあり、更なるソリューションが出てきています。
当社DC ASIAにおいても、InRow方式やリアドア方式など、それらに追従できるようなラインナップがございます。
そういったソリューションをご紹介させていただく中、そうは言っても、データセンター管理者の課題として、現設備の能力を最大化させ、円滑に運用させるというのが、とても大切なことであるということを、お客様との会話を通じて感じるところです。
現設備の能力を最大化させるということは、現状を知ることがとても重要です。
空気は目に見えないのと、電力の計算と違って少し複雑なため、ラック内のIT設備を冷却させるために、給気口(ガラリ)の冷却能力はどの程度なのだろうというお悩みが多いように思います。
今回は、これらを簡単にサマライズしてみたいと思いますので、是非参考にしていただければと思います。
参考図:給気口(ガラリ)
1kWを冷却するのに必要な風量
1kW冷却するのに、約300㎥/h必要だとよく言われています。
この約300㎥/h・kWというのは、参考までに是非知って欲しい数値なのですが、この数値についてサマライズしてみましょう。
このような公式を引用することができます。
qs[W]= 0.33 × Q[㎥/h] × Δt[℃]
= 0.33 × 300[㎥/h] × 10[℃]
≒ 1,000[W]
1,000Wは1kWとなり、温度差であるΔtは、10℃と仮定しています。
温度差はサーバルーム空調の設定により異なりますので、一概に10℃とは言い切れませんが、送風温度を15℃、室内温度を25℃と仮定した場合などが想定できそうです。
風量はどのように算出するのか
では、給気口からどのように風量を算出することができるかについてサマライズします。
風量は、給気口の面積と風速の積によって算出ができます。
給気口のサイズを把握することと、風速計があればよいのですが、このような公式を引用することができます。
Q[㎥/h] = A[㎡] × v[m/s]
= 0.5[m] × 0.5[m] × 0.6[開口率60%] × 2[m/s] × 3,600[s]
= 1,080[㎥/h]
ガラリは500mm角だとすると、0.5m角になります。
開口率はメーカーや材質によって異なりますので、仕様書を手に取ってみていただく他ありませんが、よく見られる60%と仮定して算出しました。
風速は実際に測定をするのですが、数点測定し平均値を出せば、より正確です。
ここでは、仮に2m/sとしました。
こちらを参考にしていただければ、風量を知ることができます。
給気口(ガラリ)の冷却能力はどの程度か?
では、仮に上述の1,080㎥/hの場合、どの程度冷却能力がありそうかということについてサマライズします。
冷却能力[kW] = 1,080[㎥/h] / 300[㎥/h・kW]
= 3.6[kW]
エアフローの問題や損失があるため、100%冷却能力として勘案するのは危険ですが、この条件下において、概ね500mmのガラリ1枚で、2kW~3kW程度の能力があると想定してもよさそうです。
ただ、アイルコンテインメントをしていないサーバルームの場合、計算通りとなるかは難しいかもしれません。
アイルコンテインメントは、能力を最大化させることにとって、とても重要なキーワードになります。
当社DC ASIAでも、アイルコンテインメントのソリューションを持っていますので、参考にしてみてください。
DC ASIAでは、皆さまのデータセンターのコンサルテーションを積極的に行っています。
相談してみたら、データセンター構築や運営のヒントが見つかるかもしれません。
データセンターファシリティの知見について、DC ASIAは小さい会社ながらも自信を持っています。
小さな疑問でも結構ですので、是非ご相談ください。
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