DCIMのシステム導入ガイドライン
はじめに
データセンターやサーバールームの物理インフラ運用をどうにか改善していきたいが、どこからどのように手を付けていいか悩まれている担当者の方は多いと思います。
そこで今回は、その運用課題を解決するDCIMツールを導入検討する上でのヒントを簡単にご紹介します。
DCIMと一言でいっても様々なメーカーから様々な種類の製品がリリースされています。
DCIMソフトウェアは、大まかには2種類に分類されます。あと、ソフトウェアを使わずにハードウェア(センサーなど)のみを使った管理手法もあります。
ここではその3種類をレベル1~3と三段階に分け、そしてそれぞれのレベルにおけるシステム導入ガイドラインを解説します。
尚、各レベルは以下の通りです。
【レベル1】個別監視:主に電源や温度・湿度などを計測するセンサー機器を導入し、個別に監視を行う基本形態(ハードウェアのみ)
【レベル2】統合監視:複数のセンサーの計測情報をひとつのソフトウェア上で管理しグラフ等で傾向分析等を行う(統合監視ソフトウェア)
【レベル3】運用管理:レベル2の統合監視に加え、資産・配線接続・ラック実装情報などを管理でき、運用に活用できる(統合資産管理・運用ソフトウェア)
【レベル1】個別監視:主に電源や温度・湿度などを計測するセンサー機器を導入し、個別に監視を行う基本形態
市場には数多くのメーカーから数多くの計測機器やセンサーなどがリリースされています。
(ここでいう 計測機器やセンサーは主にラック単位やデバイス単位で計測するものです)
計測機器やセンサーを選択する際には、まず「温度監視、電流監視ができる」といった表面的な部分だけではなく、深いレベルの機能がお客様の将来のニーズに対応するかを考えておくことがベターです。また、レベル2の統合監視を見据えて以下のポイントに注意する必要があります。
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ネットワーク経由での監視に対応していること
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業界標準の通信プロトコルに対応していること
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機能性・拡張性
【製品例】インテリジェントPDU
あるいは将来導入する統合監視ソフトウェアとの親和性についても考慮する必要があります。どの製品を選択すべきか?将来的にどのような拡張性を考えればよいのか?など分からない場合は弊社までご相談ください。
【レベル2】統合監視:複数のセンサーの計測情報をひとつのソフトウェア上で管理しグラフ等で傾向分析等を行う
この分野にも国内外のいくつかのメーカーから様々なソフトウェアがリリースされています。導入した計測機器・センサーと同じメーカー製のソフトウェアを利用することが親和性も高く無難な選択肢ですが、多くのソフトウェアは他社製品もサポートしています。機能としては収集した計測情報の表示であるため、各社ともそんなに大きな機能差はありませんが、細かな点で機能は異なります。お客様の利用目的や形態に合った製品を選択することをお勧めします。
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専用アプリかウェブベースか
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オンプレミス型かクラウド型か
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計測機器との互換性を確認する
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各社で異なる機能・特徴を理解する
【製品例】Sunbird PowerIQ、Schneider Electric Struxureware DC Expert(Ecostructure IT Expert)、デンソー garmit DCIM など
異なるメーカー同士の組み合わせのご相談については、経験のある弊社にご相談ください。弊社では異なるメーカー同士の組み合わせによる検証環境を整え、動作確認をしっかりと行っております。また、もしプロトコルが異なる場合にはプロトコルゲートウェイをご提案しております。
【レベル3】運用管理:レベル2の統合監視に加え、資産・配線接続・ラック実装情報などを管理でき、運用に活用できる
レベル3のDCIMがいわゆる包括的なシステムであり、監視管理という受動態から、能動的に運用に活用できるレベルとなります。提供するメーカーはある程度限定されてきます。注意すべき点はメーカーのカタログスペックを鵜呑みにして判断しないことです。全てのメーカーのカタログ上では機能として明記されているものの、実際の機能がお客様が求めるレベルを満たしているかどうかをしっかり見極める必要があります。
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資産管理の項目は既存で管理している情報を全て網羅できるか
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配線管理機能は十分かつ直観的に確認や操作ができるか
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専用アプリかウェブベースか
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日本語に対応しているか
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導入の目的をしっかりと定義する
【製品例】Sunbird dcTrack、Schneider Electric Struxureware DC Operation(Ecostructure IT Advisor)、Commscope iTRACS DCIM、デンソー garmit DCIM など
弊社はこの分野において国内随一の知見と取扱い製品を有しており、多くの導入成功実績がございます。導入前の検証が不十分であったため、導入後にうまく活用できず失敗に終わったケースもございます。お客様の運用課題に対し、機能性の検証など非常に厳密な精査を必要とするこの分野の製品の導入検討時には是非弊社までご相談ください。