弊社取り扱いDCIM各製品を比較してみた ~その1:ラック実装図
弊社はDCIMシステムを導入検討されているユーザー様により最適なものをご提案するという目的で、メーカー・製品を限定せずベンダーニュートラルなソリューションをご提案しています。
これはお客様毎に要件が大きく異なることと、一方DCIM製品も各メーカーで機能面や強味・弱みが同様異なる中、それぞれのお客様に最適なソリューションを提供したいという弊社コンセプトによるものです。
そのような状況の中、弊社にお問い合わせをいただくお客様からはしばしば「各製品の機能比較」を求められることがあります。そこで弊社が主に取り扱う4メーカー(Sunbird、Schneider Electric、デンソー、Commscope)の各製品の機能比較をシリーズでお届けしていこうと思います。
初回の今回はラック実装図の表示比較をご紹介します。
(ちなみに左図は今回各社比較するラック実装図の範囲をExcelシートで示したものです)
1. Sunbird dcTrack
SunbirdのdcTrackでは2Dと3Dでの表示をサポートしています。まず、2D表示はほぼExcelシートのようなシンプルなラック立面図です。シンプルな見た目ですが、実はとても高機能です。まず、フリップして前面・背面の表示を切り替えられたり、棚置きの小型機器にも対応するので、実際の機器搭載状態をほぼ完璧にサポートします。
また、Excelシートのような簡易的なテキスト表示と、機器の画像イメージで表示するパターンをお好みで切り替えることもできます。ラック実装図は複数ラックを横並びで表示させることが出来、また表示イメージをPDFで外部出力する事が出来ます。
もうひとつの3D表示では、マウスでラックを自由に回転させながら、よりリアルにラックの機器搭載状態を確認することが出来ます。3D表示では、機器画像の上にマウスを持っていくとその機器のアセット情報がポップアップで表示されます。
3D表示には数多くの表示パターンが用意されています。例えば、空きラックユニット数など様々な種類のキャパシティ状態に応じて色分け表示したり、例えばリース期限が1か月を切った機器を検索して表示したり、あるいは利用ユーザーごとに色分け表示させたりと、非常に多種多様な表示ができるので運用に役立ちます。
dcTrackはリッチな表示やリッチな機能を持っているにもかかわらず、操作性が非常に良いのでお勧めの製品です。
2. デンソー garmit
国産DCIMのgarmitはシンプルな機能性の使いやすい製品です。
表示パターンは、Excelシートで作ったもののようなシンプルな表示が基本ですが、前面・背面画像を設定して、グラフィカルに表示させることもできます。
ラック実装図は現状前面から見た立面図表示のみしかサポートされておらず、ラック前背面の同じユニット位置にマウントされた機器を登録するには横並びで登録するなど少し工夫が必要です。ちなみにgarmitは、棚置きの小型機器の登録・表示をサポートしています。
このようにgarmitのラック実装図は、機能としてはとてもシンプルですが、シンプルであるが故に初心者ユーザーにとっても使いやすいメリットがあると言えます。
3. Schneider Electric Struxureware Data Canter Operation
Struxureware Data Canter Operation(DCO)もSunbird dcTrackと同様、2Dと3Dでの表示をサポートしていますが、表示自体はかなり簡略化されています。
2D表示では、シンプルにデバイス名を表示するモードと、ネットワークや電源ポートを表示するモードが切り替えられます。ネットワークや電源ポートを表示するモードでは、簡易的な接続表示と共に、使用中のポートと空きポートが視認できるようになっています。ただ、簡易的な接続経路については、表示が非常に小さかったり、限定的な情報しか表示されないので、オマケ的な機能と捉える方が良いかと感じます。
Struxureware Data Canter Operationの3D表示機能は主にCFD(Computational Fluid Dynamics)で空調機やIT機器の吸気・排気などの空気の流れをシミュレーションする目的で使われます。そのため、ここで表示される3Dのラック実装図をいわゆる資産管理機能の一環として使うには多少機能が少ないように感じるかもしれません。
しかし、アイテムを右クリックして、プロパティを表示させることで、その機器の資産情報を確認することはでき、必要最低限の機能はしっかり有しています。
ちなみに、Struxureware Data Canter OperationはウェブGUIモードも用意されていますが、こちらでも表示は最もシンプルなものとなります。
4. Commscope iTRACS
Commscope iTRACSは資産管理機能に強みのある製品ですので、ラック実装図の表示の精度は非常に高いです。iTRACSの専用ソフトウェアのGUI上でのラック実装図は3Dで表示されますが、これは単にデバイスの筐体単位での表示ではなく、デバイスの各インターフェースや拡張カード、ディスクモジュール、電源ユニットなどのあらゆるパーツ一つ一つも全て独立して管理され、表示されます。要するに、シャーシやスロットに取り付けられたカード、そしてそのカード内のインターフェース全てが一つ一つ資産管理されているということです。
そして配線管理機能で登録された各一本一本のケーブルも3Dのラック実装図上に表示されるので、ユーザーは直感的に現場の状況をバーチャル空間で理解できます。
このように非常にリッチなラック実装図を表示してくれ、非常に便利なiTRACSですが、逆に言うとこのリッチな表示を作り上げるまでの作業は、当然他社製品に比べてどうしても煩雑になってしまいます。
iTRACSの新設計ウェブGUI(NWP)は現在開発が進められており、今までは一定のグラフィック性能を持つ専用クライアントPCでしかスムーズな表示が出来なかったリッチな3D表示を、ウェブブラウザ上で表示できるようになっています。
簡単に弊社取り扱い各社DCIM製品のラック実装図のポイントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?各製品ごとの特長、強味弱みがある程度ご理解いただけたかと思います。
「比較シリーズ」第二弾もお楽しみください!
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