【DCIM FAQシリーズ④】既存のデータセンターへの導入は大変ではないですか?
私たちにDCIMの導入をご相談いただくお客様の多くは既存データセンターを保有しており、ご相談の中には既存データセンター運用を改善したいといった要望も少なくはありません。
そのようなお客様の多くが気にされていることの一つに「既存データセンターへのDCIM導入は困難ではないか?」ということです。現状の運用をどうにか改善したいものの、DCIMを導入することが物理的・費用的に現実的かどうか?を見極めたいことで、このようなご質問をされているように見受けられます。
結論から申し上げますと、規模が大きくなればなるほどそれなりに大変になります。しかし、導入するDCIMのレベルや既存環境の状態に応じてはそんなに負荷がかからないケースもあります。実際に弊社が既存データセンターへの導入を行った経験に基づき、以下のようにいくつかのパターンに応じた状況を整理してみました。
監視系DCIMのみを導入する場合
監視系DCIMのみを導入する場合には既存環境の状態によって導入のハードルが大きく変わります。
- 既にインテリジェントPDUや分岐回路監視デバイスが導入済みの場合であればDCIMソフトウェアの導入は比較的容易です。特にソフトウェアが既にサポート済みのデバイスであれば、検出して登録するだけである程度の構築は完了します。しばしばインテリジェントPDUは導入されているが、ネットワークに繋がず、現地でのディスプレイ表示確認だけされているお客様もいらっしゃいましたが、これは非常にもったいないです。是非DCIMソフトウェアの導入をお勧めします。
- インテリジェントPDUや分岐回路監視デバイスが未導入の場合は、導入のハードルはかなり高くなります。既に稼働中の電源を落とすわけにもいきませんし、分電盤側にCTセンサーを取付けるにしても活線作業となりますので、事故や障害リスクは高まります。
資産管理系DCIMを導入する場合
資産管理系DCIMを導入するには、既存の資産管理台帳からDCIMデータベースへのマイグレーションを行うこととなります。一般的にDCIMソフトウェアはCSVからの一括インポート機能を備えているので、ある程度データの移行はバルク処理できますが、全てが行えるわけではありません。また、既存台帳の完成度や精度に問題があることもあり、その場合はマイグレーション作業に入る前に、現地での調査を行わなければならないケースも出てきます。
いずれにしても、ケースバイケースでのご相談となりますが、導入は可能です。
- 既存台帳が完璧に用意されている場合は、CSV一括インポートやソフトウェアGUIでのバルク登録機能を駆使してより短時間で導入できるよう弊社が最適なプランを決定します。
- もし既存台帳が不十分である場合は、現地での事前調査を行わなければならなくなるわけですが、登録すべき項目をある程度絞り込めば調査作業の負荷も軽くなり、実現可能なレベルになってきます。但し、ケーブルの物理配線経路を調査する場合、特にファイバーケーブルについては非常にセンシティブであるため、調査時におけるネットワーク障害リスクがあり、あまりお勧めはできません。
このように既存データセンターへのDCIM導入はそれなりにハードルが高いわけですが、例えば既存データセンターでも新規のエリアから段階的に導入していくという方法もあります。
いずれにしましても様々な導入パターンを経験している弊社にご相談いただければ、お客様により最適なマイグレーションプランをご提示させていただきます。