OSS DCIMのメリット・デメリットとは?
Linuxに代表されるOSS(オープンソース・ソフトウェア)はその名の通りオープンソースであるため、基本的に誰でも無償で利用できる非常にありがたい存在であり、IT市場全体でOSSは広く活用されています。そしてDCIM(データセンターインフラ管理)ソフトウェアの世界にもOSSは存在します。OSSのDCIMソフトウェア(※厳密にはDCIMの必要要素を満たしていないがそれに近しい物も含む)には以下のようなものがあります。
- Open DCIM
- Rack Tables
- netbox
OSSの一般的なメリット
無償のソフトウェアがあるからわざわざお金を出して商用のソフトウェアを買うまでもないんじゃないか?とお考えの方もいらっしゃるかと思います。もちろん無償で使えるということは何よりも優れたメリットと言えます。OSSには他にも以下のようなメリットがあります。
- ベンダーロックインされない
- カスタマイズがある程度自由にできる
しかし一方でデメリットがあることも理解する必要があります。ではOSS DCIMのデメリットはどのようなものがあるのでしょうか?
OSS DCIMのデメリット①:日本語公式ドキュメントが存在しない
まず、上記の製品すべてで日本語の公式ドキュメントが存在しない点があります。
OSSはインストールから構築・運用に至る全てにおいて簡単ではありません。それなりのITスキルやプログラミング知識が要求されます。
もし操作が分からない場合や不具合にぶつかった際に、OSS DCIMでは公式サポートは受けられず、基本的に全て自分で調べて解決しなければなりません。英語に全く問題ないのであれば気にする必要はありませんが、ネイティブではない日本人であればこれはやはりストレスになります。
まれに日本人の有志の方が日本語でのレビュー記事を書かれているケースもありますが、やはり日本語でのドキュメントは圧倒的に少ないです。
Q&Aや不具合対応についてはメーカーやベンダーに丸投げして、本来の運用に専念したいのであれば、安心のメーカーサポートを受けられる商用DCIMソフトウェアをお勧めします。
OSS DCIMのデメリット②:機能が不十分
DCIMソフトウェアというのは管理対象も多岐にわたり、また想像するよりもよっぽど複雑で、一朝一夕で作れるようなシステムではありません。長年商用DCIMソフトウェアを開発している企業ですら、満足な機能を満たしきれていないケースもあります。そこで、OSS DCIMは機能範囲が限定的であったり、それぞれの機能性が浅かったりします。またGUIもテキストメインのものが多く、使い勝手も商用ソフトウェアに比べるとやはり見劣りします。
世の中にはOSSが商用ソフトウェアと同等かそれ以上の機能性を持つケースもありますが、DCIM市場においてはそれはないようです。
限定的な機能だけでかまわない、簡易的な管理でかまわない、というユーザーにとっては、OSSも十分選択肢となりえるかと思いますが、商用DCIMほどの大幅な導入効果は見込めないかもしれません。無償であるが故、ROIは気にならないかもしれませんが。
OSS DCIMのデメリット③:セキュリティ面の懸念
OSSはその性質上、ソースコードが公開されており丸見えの状態です。よって脆弱性を見つける事が容易に出来、攻撃に晒される危険性も高まります。また、自身でカスタマイズしたプログラムに脆弱性が含まれていることもあるでしょう。完全に閉じた社内LANでのみ利用する分には問題はないかと思いますが、近年のリモートワークに伴い、社外からのアクセスを許可していけば、それに伴いセキュリティリスクは徐々に高まります。
以上、ざっとOSS DCIMのメリット・デメリットを纏めてみました。
OSS DCIMは否定するものではありませんし、特定のニーズによっては有効的に働きます。しかし、製品費用だけを考えるのではなく、今回説明した内容を含めたデメリットもしっかり理解したうえで、慎重に判断していくことが重要かと考えます。
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