弊社取り扱いDCIM各製品を比較してみた~その3:温度分布図
データセンターのサーバールーム内の温度監視は適正な冷気がIT機器に供給されているか?熱だまりが発生していないか?などを把握するために必要な事です。あるいは機器の構築計画の中での事前シミュレーションをしてみたいケースもあるかと思います。
DCIMには主にラック単位での温度監視機能がありますが、計測数値だけでなく、より可視化したいといったニーズも出てきます。そこで各社DCIMソフトウェアではフロアマップ上に温度分布の状態を表示する機能、あるいはCFDシミュレーションができる機能が用意されています。
それでは早速各社の機能を簡単にご紹介します。(尚、iTRACSについては機能がないため除外としています)
Sunbird dcTrack
Sunbird dcTrackでは各ラックの前背面扉に設置された温度センサーが計測した温度を一定周期で取得しますが、サーマルマップではその温度の値に応じて、大まかな温度分布図を疑似的に生成し表示します。温度センサーの設置位置としては、ラック前面と背面のそれぞれ上・中・下段が設定でき、サーマルマップの表示も同じく上・中・下段が選べるようになっています。また、水平に切り取った上・中・下段のサーマルマップ以外に、垂直にに切り取った表示、そして水平と垂直を同時に表示させる事が出来ます。もちろん2D/3Dビューで見ることが出来ます。
サーマルマップは現在の最新状態に加え、過去の推移をタイムラプス動画として見ることもできます。タイムラプスの期間は過去1週間(あるいは先週)から過去1年間(あるいは1年前)までの範囲で指定できます。(ちなみにタイムラプスの粒度はユーザーが設定したデータのサマライズ設定に依存します)
Sunbird dcTrackのサーマルマップはお手軽にサーバールーム内の温度分布が確認できるのが特徴です。
デンソー garmit
デンソー社のgarmitも基本的にはSunbird dcTrackの仕組みと同様で、温度分布表示の元データはサーバールーム内に配置された温度センサーの計測値となります。garmitではフロアマップ画面を表示している状態で「温度分布表示」というスイッチをオンにすると温度分布図が表示される仕組みで、これもお手軽な機能と言えます。
この機能の主な目的としてはラック列のアイル分離がしっかりなされており、冷気と暖気の混ざり合いがないかどうかを把握することです。
ちなみに温度センサーは必ずしも各ラックに取り付けなければならないというわけではありませんが、センサーの設置数が少ないとそれに応じて温度分布の表示精度が粗くなってしまいます。
フロアマップ上では温度分布に加え、アラーム表示も同時に表示させる事が出来るようになっています。
Sunbird dcTrackも同様ではありますが、温度センサーの計測値をベースにしたサーマルマップは大まかな温度分布図を確認するという点では非常に役に立ちますが、厳密なCFDによるシミュレーションを行うものではないという点を理解することが重要です。
Schneider Electric Struxureware Data Center Operation
そのCFDを使ったシミュレーションを行えるのはSchneider Electric Struxureware Data Center Operation(DCO)です。
CFD(Computational Fluid Dynamics)とは、日本語では数値流体力学と訳され、流体の運動に関する方程式(オイラー方程式、ナビエ-ストークス方程式、またはその派生式)をコンピュータで解くことによって流れを観察する数値解析・シミュレーション手法です。
Struxureware DCOにおけるCFDシミュレーションでは空調機やIT機器の吸気・排気などの空気の流れをシミュレーションし、空調の最適化を狙う目的で利用されます。
CFDシミュレーション表示では、CFD表示と同時にエアフローの流量や吸気・喚気温度が数値で表示させる事が出来ます。また、空気の流れ・速度を表示させることもできます。
また、シミュレーションベースに加え、実測ベースでの表示も可能となっております。
ある程度しっかりしたCFDシミュレーションを最も重視され、それと同時にDCIMの他の機能も合わせて使いたいユーザーにとってはStruxureware DCOが選択肢となるでしょう。