弊社取り扱いDCIM各製品を比較してみた ~その5:アセット管理

K-Iwasaki

データセンターインフラ管理(DCIM)システムが提供する重要機能のひとつは、アセット管理(資産管理)機能です。
ちなみにアセット管理機能を持たず、単なる電源や温度などの監視関連機能のみを提供するシステムは、DCMS(データセンター・モニタリングシステム)などと呼ばれることがあるように、厳密にはDCIMと呼びません。また、DCMSはしばしばBMSと混同されてしまうこともあります。いまだにこの点を勘違いされて理解されていらっしゃる方がいますので、ついでに補足させていただきました。

さて、話を本題に戻しまして、早速各社製品の機能比較を行ってみましょう。

① Sunbird dcTrack

Sunbird dcTrackはDCIMが必要とする機能をほぼ全て備えている万能ツールです。アセット管理機能についても高いレベルで実現されており、またユーザによるアセット管理項目の追加などのカスタマイズも可能です。

dcTrackのアセット管理画面の構成は以下のようになっています。

・ 上段左ペイン:ハードウェア系情報:機器のメーカーや型番、寸法や重量などのカタログスペック値情報、シリアル番号など
・ 上段中央ペイン:ID系情報:ユーザ独自の情報(ホスト名、他)設置状況
・ 上段右ペイン:配置場所情報:設置場所、ラック名、ラック内の位置など
・下段ペイン:購入日や保守契約関連、ハードウェア構成、仮想マシン情報、データ及び電源ポート情報(接続情報も)、利用パーツ、監査証跡、他

下段にはカスタムフィールドをレイアウトもできるので、ユーザが必要とする項目はもれなく対応できます。1画面で必要な全てのアセット情報を確認することが出来るのは便利ですね。

② Commscope iTRACS

iTRACSでアセット情報を閲覧するには「Dictionary」という機能を使います。
このDictionary機能を使うにはユーザが自身で必要なデータベース項目をピックアップしたり、あるいは外部データの参照エリアやリンクボタンを配置したりと、フルカスタマイズして作成します。Dictionaryの編集では、ActiveXコントロールやvbscriptを記述したりして自由度の高い編集が可能ですが、プログラミング知識を必要とします。

iTRACSのDictionaryはこのようにシステム開発環境が用意されていますので、ユーザが求めるすべての情報を好きなレイアウトで配置でき、ゴリゴリカスタマイズをしたいユーザには向いています。

ただ、ユーザインターフェースは全て英語となりますので、日本のユーザには言語の壁があります。

③ デンソー garmit

garmitのアセット情報管理は、「ユニット概要」画面を使います。

画面の構成は上から、ユニット概要、ユニット詳細、電源設定、リンク設定(URLリンク)、ネットワーク設定、というタブに分類され、それぞれのカテゴリに各アセット情報項目が配置されています。「ユニット詳細」タブでは、項目はユーザが自由に追加できますので、必要な項目はもれなく対応できます。

garmitは国産DCIMということもあって、項目のタイトルは日本語ネイティブで、表示もわかりやすく安心感があります。
ただ、他のシステムと異なり機器のテンプレート(ライブラリ)は現状用意されていませんので、都度手動で登録する必要があり、この点は今後のバージョンでの改善に期待です。

④ Schneider Electric Struxureware Data Center Operation

Struxureware Data Center Operation(DCO)でアセット情報を確認するには、デバイスのプロパティを開きます。

左ペインにあるカテゴリ別にアセット管理項目が整理されています。ただ、項目数は比較的少ないようで、どちらかというとアセット管理機能は簡易的な位置づけのようです。

ユーザによる追加項目は「プロパティ(カスタム)」欄で行えますが、異なるカテゴリの項目を分類したりすることが出来ないので使い勝手はあまり良いとは言えません。
Struxureware Data Center Operationは、電源管理や空調管理には強いツールではありますが、アセット管理を重視されるユーザにはあまり向いていないようです。

今回のまとめ

かなりざっくりでしたが各DCIM製品のアセット管理機能の特徴を説明させていただきました。機能の○✖(有無)でいえば各社「○」なのですが、画面のレイアウトや操作の違い、細かな機能違いなどがなんとなくお分かりいただけたかと思います。

当ブログの中では説明しきれていない内容もまだまだあります。もっと詳しく知りたい、実際のデモで見てみたいとご希望される方はお気軽にお声がけください。


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