適切にネットワーク配線管理が行われていないと、どんな問題が起こり得るのか?
私たちが、データセンターインフラの運用改善を求められるお客様とお話しする中で、現状を理解する上で、今現在どのような管理をされているのかを教えていただいています。
アセット管理の手法で多いのはやはりExcelを使った管理です。そのExcel台帳を使って管理されている項目として多いのは、フロアレイアウト管理、ラック実装図管理(ここでIPやシリアル番号などの簡単な資産情報管理もしている)、そしてラック内機器の電源の接続管理です。
しかし、ネットワーク・通信ケーブルの配線管理をきちんとされているお客様にはなかなかお目にかかれません。
インフラ管理台帳は持っていても、やはりExcel台帳での配線管理は大変なのか、実際には事実上更新されていなかったりするケースが多いようです。また、「そもそも管理していない」というお客様も多いようです。本音を聞くと「実は管理したいのはやまやま」ではあるものの、あまりにも作業が煩雑で、作業も徹底できず、結果的に管理不能に陥っているような状況のようです。
今回はこのようなネットワーク配線管理が適切に行われていない環境では、どのような問題が起こり得るのか?について整理してみました。
まず、管理していないか、管理していても情報の欠落や不正確であったりすると、何か作業をする、あるいは確認の際に毎回現地での面倒な物理的なケーブルトレース確認作業をしなければならなくなります。大量のケーブルの中、断線障害を起こさないよう確認するのはストレスですよね?作業を慎重にしようとすると時間もかかってしまいます。これは特に通信障害時の場合は、時間がかかるイコールダウンタイムを長引させる要因になります。そして、これはスタッフの運用効率の低下、という潜在的な問題も含んでいます。
そんな面倒かつリスクのある確認作業をスキップする、という考えで運用されている方もいらっしゃるようです。これは、乱暴に言えば「既設の配線は無視しよう」という考えです。要するに既設のよくわからない配線の撤去はリスクがあるので、そこは無視して新規の配線を繰り返すという運用です。そうしていくと、サーバールーム内に不要なケーブルがどんどん蓄積されてしまいます。
するとどうなるか?まずスイッチポートやパッチパネルポートに、使われていないケーブルが無駄に刺さりっぱなしで残ってしまう現象が起こります。空きポートが無くなってくると新たに機器を追加購入しなければならなくなります。そうなると、結果的にITコストが無駄に掛かってしまいかねません。
これは同時にスペースの問題も生まれます。無駄な機器が消費する無駄なラックスペースや電力消費、あるいは無駄なケーブルが床下の冷却用エアスペースを邪魔し、冷却効率を低下してしまう、という問題の要因になるかもしれません。そうすると結果的に電力消費が増えてしまいます。
これはあくまでもシミュレーションであり、必ずしもこれらの問題が確実に起きるというわけではありませんが、さまざまな問題があることはお分かりいただけたかと思います。
このような問題を改善する為に、DCIMというツールが存在するのです。このような観点だけ見てもDCIMを導入するメリットは十分にあると考えます。