配線管理システムの重要性と変化する市場動向:20年の経験からの考察

K-Iwasaki

ITインフラ環境における「配線管理」システムのニーズは常に存在します。私はこれまで20年以上、配線管理システムの販売に携わってきましたが、日本国内市場でのニーズは根強いものがあると感じています。

この記事では、私が20年以上にわたって配線管理システムに関わってきた経験を振り返り、時代の変化とともに変遷してきた「配線管理システム」の進化についてまとめてみたいと思います。

2000年前後の配線管理システム

私が初めてデータセンターの配線管理システムの販売・導入に携わったのは1999年でした。当時はITバブルやドットコムバブルと呼ばれる時期で、IT投資が盛んでした。私が勤務していた会社は外資系金融・証券会社を含む企業向けに通信インフラの設計・施工を行っており、多数の大規模ITインフラ構築プロジェクトで活況を呈していました。

大規模なITインフラ構築には、インフラ台帳の管理ニーズが生まれます。特に膨大な数の構内LANケーブルの接続情報を管理するのはExcelなどの台帳では難しく、特に外資系証券会社では毎日や毎週に数十本から数百本の配線追加・撤去・移動作業が行われていました。そのため、効率的な情報管理ツールとして「配線管理システム」が重宝されました。このような背景から、当時の外資系企業のITインフラ設備工事では、ほぼ必ず配線管理システムの導入が行われていました。

国内企業でも配線管理システムへの需要は存在し、特に大規模な社内インフラを持つ企業を中心に徐々に導入が進んでいきました。外資系企業ほどではありませんでしたが、配線管理システムの導入は国内企業でも広がっていきました。

2000年前後から始まった配線管理ブームの流れに乗って、配線管理ソフトウェア開発各社は大手ケーブルメーカーと手を組み、「インテリジェント配線管理システム」の開発を始めました。「インテリジェント配線管理システム」とは、従来手動で管理するケーブル接続情報管理を、インテリジェント・パッチパネルやパッチコードなどを用いて、接続を自動的に検知する仕組みを実装したものです。例えば、iTRACS、Systimax iPatch、Patchview、PanViewなどが当時有名でした。

しかし、ハイプ(コンセプトへの期待感による一時的なブーム)」が先行したインテリジェント配線管理システムは、その後、メーカーが指定する専用パッチパネル・パッチコードを使わなければならないことによる高額なイニシャルコストやメーカー縛り(ベンダーロックイン)の問題に加え、不完全・不安定な動作や機能性も相まって、最終的にはあまり使われなくなりました。

なお、2000年前後はまだデータセンターといえば自社内の一角に設けられたサーバールームであり、自社オフィス内のPCへのネットワーク環境を提供するものがそのサーバールームの主な目的でした。その当時は仮想化もクラウドもまだ普及していませんでした。

参考ページ:DCIM(データセンターインフラ管理)ソフトウェアの歴史を振り返る(1987~2021)

2020年代の配線管理システム

さて、時代は移り2020年代に入ると、リモートワーク導入の流れに伴い、企業のクラウド利用の機会もさらに増えました。近年では企業は、ワークロードの種類や目的などに応じてクラウドと自社内(オンプレミス)データセンターやハウジング利用を使い分けるようになってきました。

また、サーバーやネットワークの仮想化が進み、イーサネットも高速化したことで、物理的な制約に縛られない、より柔軟なネットワーク構成が組めるようになりました。オフィスはWiFi化が進み、サーバーも仮想化が進んだことで、オンプレミス環境における配線変更の頻度は以前よりは少なくなりました。その一方で、データセンターはサーバーとともにネットワークの高密度化が進み、また光ファイバ構成の複雑さが増したことから、従来よりも高度な情報管理が必要となってきました。

テクノロジーの進化、事業継続性、働き方の多様化などの要因も重なり、多拠点を結ぶネットワークを展開する企業も以前より増えているようです。こうした企業では、拠点間のダークファイバ回線の管理も必要になってきます。また多拠点サイトに加え、クラウドサービスとの併用する事例も増え、これらのハイブリッドなネットワークインフラを統合的に監視するニーズも高まってきていると感じています。

このような現在のニーズに対し、従来から存在する配線管理システムだけでは機能的に不十分となることも考えられます。そこで今後はISP(Inside Plant:構内配線)やOSP(Outside Plant:拠点間回線)管理に柔軟に対応できるソリューションが必要となってきます。

DC ASIAでは、このようなハイブリッドなインフラ管理需要に応える「FNT Command」配線管理システムの取り扱いを正式に開始します。25年の歴史で培われた充実の配線管理機能は、複雑な管理を要求する通信事業者からデータセンター事業者、中小規模の一般企業まで、配線管理や回線管理にまつわるさまざまな課題をきっと解決できることでしょう。

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