新時代のデータセンター: AI時代に向けた対応粒度の重要性とは?
最近、人工知能(AI)の進化は指数関数的な速さで進展しています。この進化に伴い、各データセンターではAIへの対応を目指し、GPUサーバなどの高火力サーバの導入が進んでいます。これらのGPUサーバは、従来のサーバと比較して非常に高い消費電力を持ち、1台で1kWなどの性能があるものも存在します。
このような状況では、従来型の設計で構築されたデータセンターが、電気容量や冷却能力の面で対応が難しくなっています。
JLLは「AIが今後のデータセンター設計を根本的に変える」とするレポートを発表しました。また、Metaはデータセンターの建設計画を一度白紙に戻し、新たな再設計を行いました。しかしそこまでの大規模な対応が必要でなくても、将来のAIの進化を考慮し、従来のアプローチとは異なるデータセンターの構成を検討し、それに対応する設備や機器の導入が必要です。
この時、重要なのは「対応の粒度を高める」ということです。
冷却の粒度の変化
例えば、サーバールーム内の冷却構成について考えると、20年前には冷却装置がサーバールーム全体を冷やす形態が一般的でした。しかし、それがアイルコンテインメントやInRowなどにより、架列単位での冷却に変わり、さらにはリアドアでラック単位の冷却へと進化し、そしてDLC(直接液体冷却)によりサーバ単位(チップ単位)での冷却まで実現されてきました。
こうした進化を通して、冷却の単位の粒度がどんどん高まってきていることが見て取れます。
電力監視の粒度の変化
もう一つ、電力監視についても同様です。1台1台の機器の消費電力が増加するにつれ、より精密な監視が必要です。なぜなら、電力効率や設備効率が低下し、それがコストに影響を与える可能性があるからです。また、可用性を維持するためにも、監視の粒度を高めることが重要です。2000年頃は1ラックで1kW(1000W)程度の容量でしたが、現在ではサーバ1台で1kW以上のものも登場しています。そのため、従来は回路単位(ラック単位)の電流監視が十分であったかもしれませんが、今後は機器単位での監視が必要です。
正確な実効電力を把握し、電力容量に対して無駄なくかつ容量過多のリスクがないかを常にモニタリングし、最適な電源環境を維持することは、可用性の確保とともに、設備コスト(CAPEX)や運用コスト(OPEX)の削減にも寄与します。
この流れに対応するため、ますます注目されるのがアウトレット単位で計測が可能なインテリジェントPDUです。インテリジェントPDUはサーバールームで一般的ですが、通常のモデルはインテリジェントPDU全体の電力をモニタリングできますが、アウトレット単位のモニタリングはできません。大容量のラックの電源監視が必要な場合は、アウトレット単位で計測可能なインテリジェントPDUの導入をお勧めします(各社からリリースされている大容量モデルもあります)。さらに、これらのインテリジェントPDUのメリットを最大限生かすために、収集した電力データを包括的かつインテリジェントに管理できるツールも必ずセットで導入しましょう。
このような時代の動きに先んじて、DC ASIAでは、数年前から求められる各種製品を展開してきました。冷却ソリューション面では、アイルコンテインメントやInRow、リアドアなどの製品を取り扱っています。電源ソリューション面では、インテリジェントPDUやDCIMツールを提供していますので、ご相談いただければと思います。