DCIMの正しい定義とは?Gartner社が提唱した管理ツールの本質を解説

K-Iwasaki

DCIM(Data Center Infrastructure Management)は、10年以上前から使われているバズワードであり、2024年の今、それについて改めて語ることには今さら感があるかもしれません。しかし、依然としてさまざまなベンダーが誤った定義を用いて説明しているため、多くの人が誤解しているのが現状です。その誤解を正すために、本ブログを執筆することにしました。

「誤った定義」とは、例えば…

  • 単純な電流監視ツール
  • 単純な温度監視ツール
  • BMS,BEMS
  • BMS,BEMSからのデータを加工し、まとめるツール
  • アセット管理システム
  • IPマネジメントシステム
  • 配線管理システム

これらはDCIMの持つ機能の一部でしかなく、ITとファシリティを融合したデータセンター運用にまつわる全てを網羅できていません。結果的に複数のツールを使い分けなければならなくなり、包括的な管理を行うことでもたらされるDCIMのメリットは実現できません。

Gartner社によって最初に提唱されたDCIMの定義とは?

まず、DCIMの定義が2000年代後半にGartner社によって最初に提唱されたという認識は広く共有されていますが、まだ認知されていない方もいるかと思いますので解説します。

Gartner社はDCIMを、IT資産、電源、冷却、ネットワークインフラ、さらにはデータセンターの物理的レイアウトの管理を包括するツール群として定義しました。この定義が市場で広く受け入れられ、その後研究機関やベンダーがDCIMソリューションを展開し始めました。

「DCIM: Going Beyond IT」は、GartnerがDCIMの概念を提唱した重要なレポートの1つです。この文献では、データセンターにおける従来のIT管理の枠を超えて、物理インフラ全体を包括的に管理する必要性について論じられています。要約は以下の通りとなります。

  1. DCIMの定義と役割:
    DCIMは、データセンターにおける物理インフラ(電源、冷却、スペース、ケーブル管理など)とITリソース(サーバー、ストレージ、ネットワーク機器)を統合的に管理するためのツールやプロセスを指す。この統合によって、データセンターの効率性、可用性、信頼性を向上させることができるとされています。

  2. ITを超えた管理の重要性:
    データセンターの運用は、単にIT機器の管理だけでは不十分で、物理的な電力供給や冷却管理が適切に行われなければ、IT資産のパフォーマンスや可用性に深刻な影響を与える可能性があることが強調されています。したがって、DCIMツールは、ITとインフラストラクチャの両方をリアルタイムでモニタリングし、パフォーマンスを最適化するための不可欠な手段であると述べられています。

  3. データセンター運用の可視化と最適化:
    DCIMは、データセンターの全体像を把握するための「可視化」を提供することが重要視されています。これには、リアルタイムのパフォーマンス監視、予測分析、容量計画、エネルギー使用の最適化が含まれます。これにより、効率的な資産管理やエネルギーコストの削減が可能になります。

  4. DCIMのビジネス価値:
    DCIMは単なる技術管理ツールではなく、ビジネス全体に対しても価値を提供できるとされています。例えば、運用コスト削減、ダウンタイムの防止、エネルギー効率の向上など、ビジネスにとって直接的なメリットをもたらす点が強調されています。

  5. 導入の課題と成功要因:
    DCIMの導入には、技術的・組織的な課題が伴うことも記されています。成功するためには、IT部門と施設管理部門の密接な連携が不可欠であり、両者がデータセンター全体の管理を統合的に行うための文化的な変革も必要とされています。

このレポートは、DCIMが従来のIT運用管理を超えて、データセンターの物理インフラとITインフラを統合的に管理するための重要なツールであることを示す、非常に重要な文献です。DCIMは、単なる設備のモニタリングシステムやITアセットの台帳システムにとどまらず、それらを単純に組み合わせたものでもありません。ITとファシリティのあらゆるデータを融合させて可視化し、分析・活用することで、ビジネス全体にコスト削減や可用性向上などのメリットをもたらす、包括的なツールであることを強調しています。

いずれにせよ、「DCIM」という名前に踊らされず、データセンターインフラ運用全体の最適化という目標を持ち、それを実現できるシステムをしっかりと見極めることが重要です。


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