【短編小説】DCIM戦記:その3「システム障害の謎と復旧作戦」
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ある日の朝、予期せぬネットワーク障害が発生した。仮想サーバー上で稼働していた基幹システムが突如としてダウンし、全社的に業務が停止。緊急アラートが鳴り響く中、IT部門のエンジニアである佐藤は、すぐにDCIMのダッシュボードにアクセスした。
「またか…」
一瞬の緊張が走るも、佐藤は冷静だった。なぜなら、DCIMの持つVMwareとの強力な連携機能があったからだ。このシステムは、物理サーバーと仮想サーバーの紐づけをリアルタイムで管理し、ネットワークや電源の障害を即座に特定することができる。そしてさらに、DCIMのもう一つの武器――物理配線の管理機能――がある。これにより、サーバーとネットワーク機器を繋ぐケーブルのすべてが、どのスイッチやポートに接続されているかも一目で確認できるのだ。
「まずは障害箇所の特定だな…」
佐藤はDCIMのインターフェースを操作し、仮想サーバーと物理サーバーの関連性を確認する。数クリックで、ダウンした仮想サーバーが依存している物理サーバーとそのネットワーク接続状況を視覚的に把握することができた。そこに表示されたのは、特定のネットワークスイッチとの通信が途絶えていることを示す警告。
しかし、今回は単純なスイッチ故障ではない。物理配線の管理機能を用いて、ネットワーク接続ポイントを詳細に追跡していくと、問題の根本はさらに奥にあることが分かった。佐藤は配線の経路を丹念に辿り、ある特定のケーブルに注目した。
「ケーブルが断線している可能性が高いな…」
迅速な障害箇所の特定と復旧
DCIMによって表示された配線図から、物理的なケーブルの接続ポイントを特定し、佐藤はすぐにサーバールームに向かった。問題のケーブルは、データセンターの奥にあるラックに接続されているもので、目視では一見問題なさそうに見えた。しかし、DCIMが示した正確な場所を確認すると、ケーブルの被膜が摩耗し、内部が露出しているのを発見。これが原因でネットワークが途絶えていたのだ。
佐藤はすぐにケーブルを交換し、再びDCIMのダッシュボードに戻って接続状態を確認。数秒後、警告が消え、システムが再びオンラインに復旧した。
「よし、これで大丈夫だ」
復旧に要した時間はわずか30分。もしDCIMがなければ、仮想サーバーと物理サーバーの関係性や物理配線のトラッキングを手作業で行う必要があり、数時間はかかっていたかもしれない。しかも、障害の原因を突き止めるまでにさらに時間を費やしていただろう。
システムが正常に稼働し始め、社内の業務も徐々に再開。佐藤は安堵の表情を浮かべ、椅子にもたれかかった。DCIMによる仮想サーバーと物理サーバーの紐づけ管理、そして物理配線のリアルタイム監視のおかげで、今回は最小限のダウンタイムで復旧を成功させることができた。
「本当に、DCIMがなかったらどうなっていたか…」
彼はつぶやきながら、再発防止策のためのレポートをまとめ始めた。短い時間で解決できたことに満足しつつ、次の挑戦に備えて心を新たにする佐藤の姿がそこにあった。
(続く)
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