サーバーが冗長電源だったとき、電源タップにどう繋ぎますか?
サーバーなどのミッションクリティカルなIT機器には、冗長電源が搭載されていることが多いですね。また、ITエンジニアの中には、サーバーの発注の際には、あまり深く考えることなく、”とりあえず”で、冗長電源を搭載したモデルを選ばれる方も多いと思います。また、綿密な計画が無いままに、配線接続してしまい、様々な電源トラブルに発展する様な、人為的なミスによるトラブルが多いですね。
例えば、サーバーが冗長仕様で2本の電源ケーブルが出ている場合、異なる電源タップから電源を取りたくなるのがITエンジニアかもしれませんが、この行為がベストかというと、必ずしもベストでは有りません。同一の電源タップから取るべき場合も多いのです。この辺りを考えるには、先ずは、自分たちがどの程度の可用性を望み、その為にどの様な設備を用意しているのかを把握したうえで、配線計画をしていく必要があります。
冗長レベルによる基本的な考え方
今回は、簡単に、UPSなどが、N構成、N+1構成、2Nの構成だった場合で考えてみましょう!
- 2N構成
UPS含め、IT負荷に電源供給するまでの電源設備が全て二重化されたシステムです。この場合、片方の電源系統が障害により断たれても、もう一方の電源系統で、全てのIT機器の電力を供給できるようなシステムになります。このような設備の場合、IT機器は冗長電源を搭載したモデルを用意し、2本の電源ケーブルは各々、別の電源系統の電源タップに接続していきます。 - N+1構成
UPSが(N+1)構成のシステムだった場合、基本的には、UPSからIT機器までの電源供給は1系統になります。この場合、通常は、各サーバーラックに提供される電源系統も1系統になります。IT機器が冗長電源のモデルであった場合、同一の電源タップから電源を取得することが基本となります。 - N構成
UPSがN構成のシステムだった場合、こちらも基本的にはUPSからIT機器までの電源供給は1系統になります。通常は、各サーバーラックに提供される電源系統も1系統になり、IT機器が冗長電源のモデルであった場合でも、同一の電源タップから電源を取得することが基本となります。
サーバーから出ている2本の電源コード、ラックに存在する複数のコンセントタップに惑わされないで!?
N+1構成、N構成の場合の、サーバーの冗長電源は、無駄ということではありません。IT機器の電源モジュールが故障した際にIT機器が稼働停止しては困るシステムの場合、冗長電源による恩恵を受けることが出来ます。別々の電源タップから電源を取りたくなる気持ちもわかりますが、その場合、各々の電源タップは、片方の電源タップ障害を考慮し、50%以下の負荷で運用していく必要が出てきます。システムの考え方次第ですが、その場合、倍のコストも掛かる上、管理が大変になっていくことを理解して計画していきましょう。
サーバー2重化電源の電源ケーブルを別の電源タップから取るときの注意
2N構成などで、A系B系2つの電源タップから電源を取得する場合には、A系の電源タップのブレーカーが遮断した場合に、B系の電源タップだけでIT機器全ての電源を確保できるだけの容量を計画しておく必要があります。この計画が無い場合、電源環境が健全な場合は、IT機器の利用電力がA系B系2つの電源タップに分散されて稼働できている場合も有りますが、A系の電源タップのブレーカー遮断が起こった際に、B系の電源タップにIT機器の利用電力が集中してしまい、結果的にB系の電源タップも過負荷でブレーカーがトリップしてしまい、大きなシステムダウンンに繋がってしまうことが有ります。先程も述べましたが、片方の電源タップ障害を考慮し、50%以下の負荷で運用していく必要があります。
実際には、もっと多くの考え方が有るので、上記が全てでは有りませんが、基本的な考え方は理解頂けましたでしょうか?
サーバーの電源コードが2本出ていたとしても、安易に別の電源タップから取るのではなく、自社の設備や期待する冗長性などを考えながら配線計画を行いましょう。
尚、稼働中の電源タップがどのくらい余力が有るのか?なかなか判断が難しいですよね。その様なときの為に、分電盤の分岐回路ごとの電力監視やインテリジェントPDUによる電力監視はとても便利です。未だ電力管理を行っていない方は、システムが大きくなり始めてなにをどうすれば良いか判らない様な全国のIT管理者の皆様、お困りの際は、弊社まで御相談くださいませ。
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